2008年 06月 01日
ドイツの旬の食材 ―白アスパラガス・豆知識篇― |
私の大好物の食べ物のひとつ、白アスパラガス(ドイツ語でSpargel(シュパーゲル))。
ドイツでは、春の訪れを実感する特別な存在です。
白アスパラガスが楽しめる期間は短く、ドイツ産のものが収穫されるのは4月初旬から6月24日の聖ヨハネの日まで。伝統的に、6月24日以降は収穫しないそう。
日本でフレッシュなものが出回るようになったのはつい最近のこと。先日帰国した時に青山の
紀伊国屋で見てみたら、すごく細いもの(ドイツ産のものの3分の1以下)が10本で1500円
くらいだったので、まだまだ普及には程遠いのでしょうね。
西ヨーロッパ全域で栽培され食べられていますが、ドイツ人はあくまでもドイツ産のものにこだわるようで、私が行くマルクトには国外産のものは一切置かれていません。
ドイツでは、1kg 7~8ユーロ(約1200~1300円)のものが主流。グリーンアスパラガスと
比べて希少なため、当然値段も高め。一般的に高級野菜とされ、“王様の野菜”とか“食べら
れる象牙”などと呼ばれるそうです。
白アスパラガスとグリーンアスパラガスは、実はまったく同じ品種。
栽培方法の違いで色が変わります。日光を受けて育つグリーンアスパラは、クロロフィルに
よって茎の色が緑色になります。一方白アスパラは、砂地に潜らせたまま日光を浴びない
ように栽培されるため、先端まで白いまま。
実際どのように収穫されるのか見てみたくて、日本の芋掘りのようにどこかで“シュパーゲル
堀り”ができないのか、マルクトのおじさんやドイツ人の友人などに尋ねてみました。でも、
みんな一様に答えるのは、「どうしてそんなことがしたいの?すごくつらい仕事だからドイツ人
でもなり手がなくて、ポーランドから出稼ぎの人が来ているんだよ。」とのこと・・・
でも先日、期せずして収穫現場を見ることができました!
南ドイツの白アスパラガスの名産地は、ミュンヘン近郊のアーベンツベルク(Abensberg)と
シュローベンハウゼン(Schrobenhausen)の2都市。
先日のドイツ周遊旅行の帰りにアーベンツベルクに寄ったところ、ラッキーなことに畑を見せてもらえたのです。
(←写真は、アーベンツベルクの市庁舎前のレストランにあった
“Spargelの像”)
アスパラガスの看板を出している農家。
作業場の中に販売コーナーがあって、獲れたての白アスパラガスを直売しています。
立派なアスパラが格安なので、近所の人たちも自転車で買いに来ていました。
奥では、収穫直後の白アスパラガスの選別作業をしています。
結構大きな農家で、たくさんの牛を飼育していました。チーズも製造・販売しているそう。
ここのおばさんに教えてもらって、アスパラガス畑まで行ってみました。
日光が当たらないように、畑全体にシートがかぶせてあります。収穫をする所だけ、一時的にシートを取ります。
←白アスパラガス発見!
先端がちょっとだけ地表に顔を出しているの、写真でわかりますか?
かぶせてある土を掘って・・・
あっという間に根元からカット!
掘った後は、土を元通りに戻します。
すごい早業!
獲れたての白アスパラガス、こんなに長~いんです。
畑で作業を見て、つらい仕事と言われたのがよくわかりました。
泥まみれになるので作業する人はみんな裸足だし、長時間ずっと中腰の状態なので、足腰
への負担はすごそう。そして、作業員はドイツ語を解せない他国からの出稼ぎのようでした。
先程の農家の牛舎のすぐ裏手に、こんな場所が・・・
出稼ぎ者用の居住スペースのよう。
狭いプレハブ小屋の中には2段ベッドが見えます。
私の大好物の白アスパラガス、こんな人たちのお蔭で美味しくフレッシュなものが食べられる
んですね・・・
興味深かったのは、周りにホップ(ビールの原料のひとつ)の畑がたくさん広がっていた
こと。
ホップと白アスパラガスは、生育環境が似ているのかしら?と思い、帰宅してからインターネットで検索してみたら大当たり!
南ドイツのホップの産地と白アスパラガスの産地は、ほぼ同一エリア。以前記事にした
ホップの特産地ハラタウも、白アスパラガスの産地のよう。
今年の白アスパラガスの季節もあと3週間少々。
悔いを残さないように(?)、せっせと食べなくちゃ!!
by spargeln
| 2008-06-01 21:30
| おいしいモノ -料理